PROSOL
MAGAZINE
プロッソルマガジン

【広島 抗がん剤 ウィッグ】 ウィッグ業界の問題点③ウィッグを被って変だと感じる理由の考察

前置き

美容業界から見たウィッグ業界の問題点(少なくとも自分が感じる問題点)は以下の通り。

①なんでこんなに高いの?

②マダムっぽいのしかない

③いざ被ったら変

④切ってくれるところがない

⑤ウィッグ屋で切ってもらったけどカット下手じゃん!

前回まで①②を自分勝手に推察してみました。

今回は③について考えてましょう。

んで、悶々と考えた結果、3つの要素が絡んでいるように感じます。

・主観と客観

・カタログとのギャップ

・人頭とウィッグの毛髪分布の違い

他にも「化繊だったらツヤに違和感」といった決定的な原因もありますが、今回は除外した上で、

それぞれの解説をしてみましょう。

主観と客観による感じ方の違い

これは一人ひとりの価値観も関わってくるので何とも言いにくいですが、

主観を重視する人と、客観を重視する人で分かれます。もっと噛み砕くと、

・客観的には自然でも、主観的に違和感を感じたら周りがどんなに自然だと言っても無理!って人

・客観的に自然だったら、別に自分も気にしないよーって人

という2通りに大きく分けられる感じ。

この場合、主観重視のほうが違和感に苦労します。

髪質の違いによる違和感、分け目が異なることでの違和感(ウィッグによっては分け目が決まってしまっている)は抗えない要素ではある。

「今までの自分のまんまの姿」という希望に応えるには限界があるのだけど、そのズレを何処まで許容できるかによってウィッグに対する感じ方は大きく変わるでしょうね。

カタログとのギャップ

当店では、ウィッグのカタログを求められても絶対にお渡ししていません。

それは自分の判断で購入した場合、取り返しのないミスの買い物になってしまう確率が非常に高くなるからです。

カタログに載っているようなモデルは「頭が小さい」「首が長い」などの特徴を持つ場合が多いです。

僕がPROSOLの五日市店時代に書いていたブログが、詳しく解説していて結構面白いので貼っておきます。

首が長い人と、短い人では同じ長さでも、首が短い人の方が肩に付きやすくなってしまうのはイメージできますか?

また、頭の大きい人は小さい人に比べて、生地が引き伸ばされ、髪が短くなってしまうイメージはできますか?

そこの物理的、構造的な問題はプロだからこそ容易に想像できますが、

一般的な方は「ウィッグは被ればその形になる」という、「楽なもの」としての認識があるため、

いざ手にした時のギャップに驚かされる事でしょう。

人頭とウィッグの毛量分布の違い

ウィッグを被ったら、頭が大きい感じがして不自然になりやすい。

超極薄フィルムで貼り付けるならまだしも、布や人工頭皮の厚み分がカサ増しされるから、そりゃそうなる。

それ以外にも実は毛髪の分布も関係していると考えられます。

違いは以下の通り。

右図のように人頭は耳の後ろや後頭部辺りの毛量が一番多い。

一方でウィッグは長時間着用する事を想定し、通気性の観点で下部分が少なめに設定してあると考えられる。

頭頂部に関しては人頭は血管の太さやホルモンなどの影響を受けやすく、毛が細かったり、薄かったりする。

一方でウィッグは、最も目立つ表面だからこそ、そりゃウィッグなのに薄くしてしまうのはマズいですよね。

そんな感じで、図でもわかるように、逆転しているんですよね。毛髪分布が。

これによってウィッグは上重心になって頭が大きく見えてしまうのはあると思います。

あとは布の縫い合わせが、人頭で言う「特少」部分近辺に来ることが多く、そこがボリュームが出やすいという…。

こういった事情をきちんと理解した上で、どこをどのくらい減らせば人頭のバランスに近付いていくだろう……という考え、美容師目線で毛量を取り、ウィッグを自然に近づけていく。

これがFOR ACでやっている技術です。

まとめ

以上のように、ウィッグに対する違和感は幾らかの要因があると考えています。

あえて言葉を選ばずに言いますが、

・主観と客観=お客様の感じ方の問題

・カタログとのギャップ=ウィッグというものに対して都合の良い幻想、誤解をしがち

・毛髪分布=物理的な問題

この3つが大きな要因かと思っています。

「あえて」というのも、これは「良いサービスを提供するため」であって、決して悲観的な話をしているわけではありません。

問題には必ず原因があって、それを解決するためにはまずその原因を知り、その事実の受け止めをした上での対策が必要になります。

主観と客観に関しては、勿論、僕ら美容師が手を尽くした前提で、ウィッグという道具の限界がある以上、多少の思考転換は出来た方が上手に付き合っていけるでしょうし、

カタログに関しては結果的に「リスクを説明した上でカタログを渡さない」「一緒に選ぶ」「絶対に被った状態で切る」を徹底することで対策しているし、

毛量分布に関しては僕らが頑張って技術と経験を駆使するだけです。

ウィッグの違和感に関してはそんな感じかなー。という事で以上!

YouTube【がん患者を救うアピアランスケア美容師ch】

インスタグラム

公式LINE

Googleマップ

この記事を書いた人

大田垣 成俊
大田垣 成俊
1988年生まれ広島県尾道市出身。
広島修道大学人文学部教育学専攻卒。
中高社会科教員免許取得。

大学卒業後、PROSOLに入社し、働きながら広島県理容美容専門学校の通信課程にて美容師免許を取得。
五日市店で12年の勤務を経て、アピアランスケアのリーダーとして廿日市店へ異動。
丁寧で親身なカウンセリングと、理論的な技術やアドバイスに定評があり、独自の特性を活かして、新人の技術教育やオリジナル商品開発など、多岐に渡り活躍中。